AI活用

毎朝、note記事とMVを1本ずつ作っています──62歳が一人でやっている『AI制作ルーティン』の全工程

「毎朝noteとMVを作ってるけど、どうやってるの?」とよく聞かれます。日経新聞の一面トップ記事1本を、note記事→楽曲→ミュージックビデオ→全SNS展開まで、その日のうちにたった一人で仕上げる。62歳・コード未経験から始めた、AIを武器にした制作ルーティンの全工程を公開します。

#生成AI#マーケティングエンジニア#AI活用#コンテンツ制作#Suno#Claude Code#中小企業#音楽制作
今宿 裕昭

今宿 裕昭

ステップアウトマーケティング合同会社 代表|元博報堂 29年

プロフィール →
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こんにちは、ステップアウトマーケティング代表の今宿裕昭です。

最近、いちばんよく聞かれるのがこれです。

「今宿さん、毎朝noteとMV作ってるけど。それって、どうやってるの?!」

たしかに、自分でも変なことをやっている自覚はあります。毎朝、日経新聞の一面トップ記事を1本選んで、それをnote記事に書き、さらにその記事から楽曲を作り、ミュージックビデオまで仕上げて、X・Instagram・YouTube・TikTokに展開し、Spotifyなどの音楽配信にまで載せる。これを、ほぼその日のうちに、一人でやっています。

聞くと「どんな大所帯でやってるんですか」と思われるのですが、答えは「一人です」。正確には、たくさんのAIを、まるで広告代理店の各部署のように使い分けている。これが種明かしです。

この記事は、その全工程の公開です。「どうやってるの?!」に、スパッと答えられるようにまとめました。

日経一面の記事1本が、その日のうちに記事と歌になる。かつての広告制作(何十人・数週間・数千万円)と、いまのマーケティングエンジニア(一人・AI・朝のうち)の対比図

全体像──「1本の記事」が「歌」になるまで

先に流れだけ示すと、こうです。

  1. 日経一面を俯瞰する … その日の紙面全体を見て、一面トップを主役に文脈を読む
  2. note記事を書く … リサーチ・執筆・ファクトチェックを別々のAIに担当させる
  3. 記事を「動詞ひとつ」に削る … その日の経営の決断を、一語の動詞に凝縮する
  4. 楽曲をつくる … 動詞をテーマに、歌詞を書いてAIで作曲する
  5. MVをつくる … 歌声に同期して、文字と画像が動く映像を書き出す
  6. 全SNSに分解する … 1つの素材を、各チャネルの形に作り替える
  7. 配信する … 音楽配信サービスに載せて、世界中で聴けるようにする

ひとつずつ、何をやっているかを開きます。

工程1:日経一面を「俯瞰」する

スタートは毎朝の日経新聞です。といっても、一面トップの記事だけを読むのではありません。その日の紙面全体にざっと目を通し、複数の記事のあいだに流れている『文脈』を読むようにしています。

ただし、軸はあくまで一面トップ。日経が「今日はこれを一面に置いた」と決めた記事を主役に据えて、紙面全体はその背景・補助線として使う。ニュースの寄せ集め要約にはしない。ここが、ただのまとめ記事との分かれ目です。

記事本文は、AIに自動で取得させています。「今日の一面は何か」「本文はどう書かれているか」を、毎朝同じ手順で手元に引き込むところから一日が始まります。

工程2:note記事を「3つのAI」で書く

ここが、いちばん人の手間に見えて、いちばんAIに任せている部分です。

僕は記事を一人で書いているようでいて、実際には役割の違う3つのAIエージェントを順番に動かしています

  • リサーチ担当 … 記事の背景、関連データ、出典を集める。数字には必ず出典URLを付けさせる
  • 執筆担当 … 集まった材料と、僕が決めた「今日の切り口」をもとに、経営者に刺さる文章に書き上げる
  • ファクトチェック担当 … 書き上がった記事の数字・固有名詞・引用を1件ずつ検証する。出典に実在しないデータ(AIがもっともらしく作る『嘘の統計』)を撃ち落とす

かつて広告会社で、プランナー・調査・コピーライター・校正が分かれて回していた仕事を、AIの分業で再現しているイメージです。速さと正確さを両立させるために、あえて一人のAIに全部やらせない。これが品質の肝になっています。

そしてもうひとつ大事にしているのが、ここでの僕自身の役割です。AIが3つ動いても、「どんな角度で、誰に、何を届けるか」を決めるのは僕。切り口を決め、AIの出力に違和感があれば突き返す。ここだけは、人間にしかできません。

工程3:記事の核を「動詞ひとつ」に削る

記事ができたら、次はその記事をたった一語の動詞に凝縮します。

これは僕が続けている音楽プロジェクト「StepOut Music」のルールで、テーゼはこうです。

決断とは、動詞をひとつ選ぶこと。

経営の判断は、最後はいつも動詞に行き着きます。「握る」「引く」「積む」「届く」「直す」――その日の記事が訴えている経営の決断を、ひとつの動詞に削り出す。それがそのまま曲のタイトルになります。動詞が立たない日は、無理に作りません。

記事という「論理」を、動詞という「芯」に落とす。この作業が、長い文章を歌に変えるための蝶番(ちょうつがい)になっています。

工程4:楽曲をつくる

選んだ動詞をテーマに、歌詞を書きます。記事の中で読者に届けたかったメッセージを、もう一度、歌として届けられる言葉に翻訳していく。

作曲と歌唱は、生成AIのSunoを使っています。サウンドは、シリーズの途中からアシッドジャズに固定しました。毎作スタイルがバラつくより、「StepOut Musicといえばこの音」という背骨があったほうが、シリーズとして積み上がるからです。

ここでも、ただAIに丸投げするわけではありません。歌詞のどこを攻めるか、どの一行で聴き手に「膝を打たせる」か。記事と同じで、判断の部分は人間が握っています

工程5:MV(ミュージックビデオ)をつくる

曲ができたら、映像です。StepOut MusicのMVは、派手な実写ではなく、歌声に同期して文字(タイポグラフィ)と画像が動くミニマルな作りにしています。

工程はこうです。

  • 歌声を解析する … AIで歌詞のどの言葉が何秒に歌われているかを1語単位で割り出す
  • 画像をつくる … 各場面の背景画像を画像生成AIで用意する
  • 映像を書き出す … 自作のレンダリングエンジンで、歌詞と画像と数字を、歌に合わせて動かす
  • 仕上げる … 色味を整えて、YouTubeに公開できる1本の動画にする

「歌声と文字をぴったり合わせる」ところは、人の手でやると気の遠くなる作業ですが、ここはほぼ自動化しました。機械にやらせるところと、人が決めるところを、はっきり分けている。これが毎朝続けられている理由です。

工程6:全SNSに「分解」する

1本のMVと記事ができたら、それを各SNSの形に作り替えます。これはコンテンツ・アトマイゼーション(1つの素材を、チャネルごとの最適な形に分解する)という考え方です。

  • X … 記事の核を、リーチ用・信頼用・集客用の3本に書き分ける
  • Instagram / Facebook … 縦型の短い動画クリップに切り出す
  • TikTok / YouTube ショート … 縦型・短尺で、ニュース性のある切り口を前に出す
  • Spotify Canvas … 楽曲ページで流れる数秒のループ映像

ここでも決定的な部分(動画の縦変換など)はスクリプトで自動化し、コピー(言葉)の部分は、その曲・その記事を読み直して毎回書き起こす。テンプレ流用で凡庸にしない、というのが自分なりのこだわりです。

工程7:音楽配信に載せる

最後に、楽曲をDistroKidという配信サービス経由で、Spotify・Apple Music・Amazon Musicなど各種の音楽配信に載せます。これで、毎朝の一面記事から生まれた曲が、世界中のどこでも聴ける状態になります。

AIで作った楽曲であることは、隠さず正直に開示しています。ここを誤魔化すと、後で全部が崩れるからです。

かつてと、いまの違い

ここまで読んでいただくと、冒頭の図の意味が伝わると思います。

僕は博報堂で29年間、広告の仕事をしてきました。当時、こうした「企画して、書いて、作って、出す」という一連を回すには、各部署に分かれた何十人が、数週間から数か月かけて、数百万から数千万円の規模で動くのが当たり前でした。

それと近いことを、いまは一人で、AIを武器に、朝のうちに回しています。コストはAIツールの月額くらい。場所も、すべて自分の手元(ローカル)で完結します。

僕はこれを「マーケティングエンジニア」と呼んでいます。AIを武器に、これまで大企業しか手にできなかったマーケティングの規模と質を、一手に動かす人。その力を、中小企業のために使いたい。毎朝のnoteとMVは、その生き方そのものの実証実験です。

(この職種の定義は、別の記事マーケティングエンジニアとは何かで詳しく書きました)

使っている道具

よく聞かれるので、主な道具立ても載せておきます。

  • Claude Code / Codex … 文章の制作補助、各種スクリプトの実行、自動化の土台
  • Suno … 作曲・歌唱
  • AIDesigner / Higgsfield … MVの背景画像(画像生成)
  • Whisper … 歌声と歌詞の同期(音声解析)
  • 自作のレンダリングエンジン … 歌詞同期のMV書き出し
  • DistroKid … 音楽配信

どれも特別なものではありません。違いがあるとすれば、これらを『部署』のように組み合わせて、一日の制作ラインとして毎朝回していること。道具そのものより、組み合わせ方と続け方が肝です。

あなたの会社でも、一部は再現できる

「毎朝MVまで」は極端な例です。でも、この仕組みの一部は、どんな会社でも持ち込めます。

たとえば「毎日のニュースから、自社の視点でひとことコメントを書く」だけでも、AIを使えば一人で続けられる。それを積み上げれば、半年後にはあなたの会社の立派なメディアになっています。企画から発信までを分業せずに、一気通貫で回せる時代が、もう来ているということです。

「うちの会社だと、どこから手をつけられる?」――そういう相談を、毎週月曜の夜8時から1時間、オンラインの「マーケティングエンジニア・ラボ」でざっくばらんに受けています。テーマは自由、お酒を飲みながらでも構いません。僕も大好きなハートランドを片手に参加しています。気になる方は、のぞいてみてください。

毎朝の一面が、夕方には歌になっている。その全工程を、これからも公開していきます。

よくある質問

Q. 毎朝、本当に一人で全部作っているのですか?
はい。日経一面の記事選びから、note記事、楽曲、ミュージックビデオ、SNS投稿文、音楽配信まで、すべて僕一人で回しています。ただし『一人』というのは正確ではなく、複数のAIを部署のように使い分けています。リサーチ・執筆・ファクトチェックをそれぞれ別のAIエージェントに担当させ、楽曲はSuno、映像は自作のレンダリングエンジン、というように、かつて何十人の分業でやっていたことを一人でオーケストレーションしている、という感覚です。
Q. コードが書けないと無理ですか?
僕自身、62歳でコードはほぼ書けない状態から始めました。いまもゴリゴリ書いているわけではなく、Claude CodeやCodexといったAIに『こういうものを作りたい』と指示して動かしています。必要なのはプログラミングのスキルそのものより、『何を・誰に・なぜ届けるか』を設計する力(=マーケティングの力)です。道具はAIが肩代わりしてくれます。
Q. なぜ毎日やるのですか?
三つあります。ひとつは自分の学びを止めないため。毎朝の本番が、いちばん速い練習です。ふたつめは、中小企業の経営者に『AIでここまでできる』を実物で見せるデモのため。語るより、毎朝の成果物を見てもらうほうが早い。みっつめは、いずれ書籍にまとめるためのケース蓄積です。
Q. 中小企業でも同じことができますか?
全工程をいきなり真似する必要はありません。たとえば『毎日のニュースから自社の視点で短い記事を書く』だけでも、AIを使えば一人で続けられます。大事なのは、企画から制作・発信までを分業せず、一人(または少人数)で一気通貫に回せる時代になった、という事実です。その一部を自社に持ち込むだけで、発信のスピードと量は大きく変わります。

執筆者

今宿 裕昭

今宿 裕昭(いましゅく ひろあき)

ステップアウトマーケティング合同会社 代表 / マーケティングエンジニア(AI導入プロデューサー)

マーケティングエンジニア(AI導入プロデューサー)。AIを武器に、これまで大企業しか手にできなかったマーケティングの規模と質を、自らの責任と企みで一手に動かし、中小企業と日本創生の基盤作りに使う仕事を定義し直した一人会社の代表。博報堂に29年在籍し、ユーキャン・ENEOS・スズキ・スターバックス・BOSEなど大手ブランドのマーケティング戦略を指揮。年間200億円規模のプロジェクトを牽引。2020年早期退職後、滋賀県東近江市へ移住・独立。中小企業20社以上の支援実績。スポーツ庁「スポーツツーリズム創出事業」採択(2025年)。

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