こんにちは、ステップアウトマーケティング代表の今宿裕昭です。
「AIがここまでできるなら、マーケターってもう要らないんじゃないですか?」
生成AIの導入支援をしていると、経営者からこの質問をよく受けます。
答えは、はっきりNOです。
ただし、「今までと同じマーケター」は確かに要らなくなります。求められる役割が変わるだけです。
今日は、生成AIにできること・できないことを整理した上で、AI時代のマーケターに本当に求められるスキルについてお伝えします。
生成AIが得意なこと
まず、生成AIが何をできるかを正直に認めましょう。かなりのことができます。
文章の生成・リライト
ブログ記事のたたき台、メール文、SNS投稿文、プレスリリース──文章を「作る」作業は、生成AIが圧倒的に速い。人間が1時間かけて書く文章を、数十秒で出力します。
データの要約・分析
大量のアンケート結果、競合の情報、市場レポート。これらを読み込ませて「要点をまとめて」と指示すれば、数分で整理してくれます。
リサーチ・情報収集
「この業界の最新トレンドを5つ教えて」「競合A社の強みと弱みを分析して」。ゼロから調べ始めるより、生成AIに下調べさせてから自分で確認する方が圧倒的に効率的です。
多言語対応
翻訳の品質は年々向上しています。「この文章を英語にして、ビジネスメールのトーンで」という指示で、実用レベルの翻訳が出てきます。
パターンの発見
「この3ヶ月の売上データから、何か傾向はあるか」と聞くと、人間が見落としがちなパターンを指摘してくれることがあります。
生成AIにできないこと
ここからが重要です。生成AIには「できないこと」が明確にあります。 そして、それこそがマーケターの仕事です。
顧客の感情を「わかる」こと
AIは「顧客の声」を分析することはできます。でも、目の前のお客さんが言葉にしていない不安や期待を察することはできません。
「この人は値段で悩んでいるのではなく、失敗するのが怖いんだ」。こういう洞察は、人間の経験と共感力からしか生まれません。
ブランドの世界観を「作る」こと
AIにブランドコンセプトを考えさせると、それらしい言葉を出してくれます。でも、「この会社はこういう存在でありたい」という意志はAIの中にはありません。
ブランドの世界観は、経営者やマーケターの想いから生まれるものです。AIはそれを言語化する手助けはできますが、創り出すことはできません。
「何をやらないか」を決めること
生成AIは「こんな施策がありますよ」とアイデアを出すのは得意です。でも、「この施策はうちがやるべきではない」という判断はできません。
マーケティングにおいて、何をやるかより何をやらないかを決めることの方がはるかに重要です。これは戦略的判断であり、ビジネスの文脈を深く理解した人間にしかできない仕事です。
人間関係を築くこと
BtoBビジネスにおいて、最終的に取引を決めるのは「この人と仕事がしたい」という信頼です。AIがどれだけ完璧な提案書を作っても、信頼関係を築くのは人間の仕事です。
倫理的・文化的な判断
「この表現は、この地域では失礼にあたらないか」「このキャンペーンは社会的に問題がないか」。文化的なコンテキストや倫理的な判断は、AIが最も苦手とする領域の1つです。
AI時代のマーケターに求められる3つのスキル
では、これからのマーケターには何が求められるのか。僕は3つだと考えています。
① 問いを立てる力
AIは「質問に答える」のは得意です。でも、「何を質問すべきか」を考えるのは人間の仕事です。
「売上が下がっている」という事実に対して、「なぜ下がっているのか」と聞くか、「どの顧客層が離れているのか」と聞くか、「競合に何が起きているのか」と聞くか。問いの立て方で、得られる答えがまったく変わります。
良い問いを立てられるマーケターは、AIの力を何倍にも増幅できます。
② 文脈を読む力
データが同じでも、業界や地域、会社の歴史、経営者の想いによって、取るべき打ち手は変わります。
AIはデータを分析できますが、「このデータが、この会社のこの状況で何を意味するか」 を解釈するのは人間です。
ある会社にとっての正解が、別の会社では大失敗になる。その違いを読み取る力が、文脈を読む力です。
③ 判断する力
AIは選択肢を並べてくれます。でも、「どれを選ぶか」を決めるのは人間です。
しかも、マーケティングの判断には「正解がわからない状態で決める」ことが含まれます。データが不十分でも、期限が来たら判断しなければならない。
不確実な中で、責任を持って意思決定する力。 これは今後も人間にしかできない仕事です。
「AIを使えるマーケター」と「AIに使われるマーケター」
ここで注意が必要なのは、AIの使い方に2つのタイプがあるということです。
AIを使えるマーケター
- AIを「ツール」として使い、自分の判断で最終成果物を仕上げる
- AIの出力を鵜呑みにせず、自分の経験と知識で修正・改善する
- AIに何をさせて、何を自分でやるかの線引きが明確
AIに使われるマーケター
- AIの出力をそのまま使う
- 「AIが言っているから正しい」と思考停止する
- AIの出力が正しいかどうかを判断する知識や経験がない
AIは、使い手の能力を増幅するツールです。 優秀なマーケターが使えば生産性が何倍にもなる。でも、判断力のない人が使うと、間違った方向に高速で進んでしまう。
経営者がAI時代にすべきこと
中小企業の経営者にとって大事なのは、「社員にAIツールを渡す」ことではありません。
「AIをどう使うか」の方針を、経営者が決めることです。
AIに任せる業務を定義する
「何でもAIに聞いていい」ではなく、「この業務のこの部分はAIを使っていい」という範囲を決める。お客さんに送るメールのたたき台をAIに作らせるのはOKだけど、AIの出力をそのまま送るのはNG──こういうルールを決めることが経営者の仕事です。
人間がやるべき仕事を明確にする
AI時代に、人間が注力すべき仕事は何か。顧客との関係構築、戦略的判断、ブランドの方向性の決定。
これらに社員の時間を集中させるために、AIに渡せる作業を渡す。「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIに雑務を渡して、人間は人間にしかできない仕事に集中する」 。
この発想の転換が、AI時代の中小企業の競争力を決めます。
まとめ:AIは「副操縦士」であって「操縦士」ではない
生成AIは、マーケターにとって最高の副操縦士です。
データ分析、文章作成、リサーチ、アイデア出し──これらの作業を圧倒的なスピードでこなしてくれる。
でも、行き先を決めるのは操縦士=人間の仕事です。
「どこに向かうか」「なぜそこに向かうか」「何を捨てるか」。この判断ができるマーケターは、AI時代にますます価値が高まります。
逆に、AIの出力を右から左に流すだけのマーケターは、確かに不要になるでしょう。
AIに何をさせるかではなく、AIがあるからこそ自分は何をするか。
この問いに向き合うことが、AI時代のマーケティングの第一歩です。
迷ったら、まず30分話しましょう
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売り込みは一切しません。あなたの会社の状況を聞いた上で、「AIに任せるべき業務」と「人間が集中すべき仕事」を一緒に整理する時間です。
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