生成AI活用

一人社長のAI費用は、固定費じゃなかった──月4万円と書いた4ヶ月後に明細を開いた話

4ヶ月前に「一人社長のAI費用は月4万円」と書きました。先日カード明細を開いたら、固定のサブスクだけで80,765円、その月に払った総額は164,773円でした。なぜ倍以上ずれたのか。実額を全部出して考え直します。

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今宿 裕昭

今宿 裕昭

ステップアウトマーケティング合同会社 代表|元博報堂 29年

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こんにちは、ステップアウトマーケティング代表の今宿裕昭です。

先に結論を書きます。 2026年7月、僕がAIに払った金額は、毎月かかる固定のサブスクだけで 80,765円、追加課金や単発購入まで含めた総額で 164,773円 でした。4ヶ月前に自分で「月4万円」と書いた記事の、それぞれ2倍と4倍です。しかも調べたら、増えたのではなく最初から見ていなかっただけでした。AI費用は固定費ではなく変動費だった、というのがこの記事の結論です。


「AI社長 費用」で検索すると、出てくるのは社長のAIクローンやAIアバターを制作する費用の話がほとんどです。初期費用で数十万円から、規模によっては数千万円という世界。

僕が知りたかったのは、そっちではありませんでした。一人でやっている社長が、毎月AIにいくら払っているのか。 この記事はその話です。AIアバターの制作費を調べに来た方には、申し訳ないのですが役に立ちません。

僕は62歳、滋賀県東近江市で一人法人をやっています。秘書もエンジニアもいません。2026年4月に一人社長のAI費用は月4万円という記事を書きました。ツールを5つ並べて、合計40,500円。きれいな記事でした。

先日、楽天カードの利用明細を最初から最後まで読む機会がありまして。自分で書いた数字が、実態と合っていませんでした。


実額を全部出します

2026年8月請求分(利用日2026年7月)の、AI関連の支払いです。

毎月かかる固定サブスク

サービス 金額
Claude(Anthropic) 37,392円
ChatGPT(OpenAI) 37,057円
Perplexity Pro 3,708円
Suno 1,684円
ElevenLabs 924円
小計 80,765円

同じ月に発生した、変動する支払い

サービス 金額 内容
Anthropic 追加課金(2件) 20,691円 サブスクとは別枠
AI Designer 16,818円
Higgsfield 15,801円
OpenAI 追加課金(5件) 9,275円 同じ日に1,855円が5回
Genspark 9,345円 月ごとに額が動く
HeyGen 4,833円
omi 3,375円 明細名は「OMI BASED HARDWARE」
CapCut 2,180円
Aqua Voice 1,690円
小計 84,008円

固定80,765円 + 変動84,008円 = AI関連の合計164,773円。

固定と変動が、ほぼ半々。ここが一番言いたいところです。


上の2行が、どちらも37,000円台な理由

固定サブスクの表を見ると、ClaudeとChatGPTが両方とも37,000円台で並んでいます。これは偶然ではありません。同じ仕事に、2社分払っています。

Claude Maxは、Claude Codeを動かすためのものです。ChatGPT Proのほうは、そのClaude Codeのサブとして、Codexを使い始めたから上げました。コードを書かせる相手を、2つ持っている状態です。

正直に言うと、これは贅沢だと思います。ただ、一人でやっていると、片方が止まった日に代わりがいないのが一番怖い。人を雇っていれば「今日は別の人に頼む」ができますが、一人だと自分ごと止まります。冗長化にお金を払っている、という説明が実感に一番近いです。

ここは各社の値段を比べても答えが出ないところで、「止まったら何日困るか」で決めるしかありませんでした。


そもそも「増えた」のではありませんでした

ここで、自分に都合の悪いことを書いておきます。

4月の記事には「ChatGPT Plus 約3,000円」と書きました。ところが明細を遡ると、2月21日に35,490円、3月21日に36,343円が引き落とされています。記事を書く2ヶ月前から、すでに3万円台でした。

つまり4ヶ月で増えたのではなく、書いた時点で見ていなかったのです。頭の中の契約リストを足し算して、明細と突き合わせていませんでした。

一人でやっていると、これを指摘してくれる人がいません。経理も自分、決裁も自分なので、間違ったまま4ヶ月走りました。恥ずかしい話ですが、この記事で一番の教訓はここです。


「毎月いくら」と聞かれて、答えられない理由

4月の記事で僕がやったのは、ツールを並べて月額を足し算することでした。多くの記事がそうしています。でも実際の明細は、そういう形をしていませんでした。

理由1:同じサービスから、月に何回も請求が来る。

7月のAnthropicは、サブスクの37,392円とは別に、16,826円と3,865円の請求が立っています。これはClaude Codeを動かすときのAPI利用分です。2月はもっと極端で、サブスク32,140円に対して追加課金が7件・40,035円。その月のAnthropicだけで72,175円でした。使った量で変わるので、翌月同じになる保証がありません。

理由2:明細を見ても、何のサービスか分からない行がある。

7月21日に「PRO」という3,708円の請求があります。加盟店名がこれだけ。最初はまったく心当たりがありませんでした。

過去の明細を遡って分かりました。2月21日「WWW.PERPLEXITY.AI」3,226円、3月21日「WWW.PERPLEXITY.AI」3,634円。課金日が毎月21日で完全に一致していて、7月の明細にPerplexity名義の請求は他にありません。Perplexity Proでした。加盟店名の記載が途中で切れていたわけです。

逆の間違いもしました。7月16日の3,375円は、明細に「OMI BASED HARDWARE」と出ます。僕は最初、これを機器の購入代だと思い込んで集計から外しかけました。Based Hardwareというのは、僕が使っているomiというサービスの開発元の社名です。ハードウェアという単語が入っているだけで、買ったのは機器ではありませんでした。

自分が契約しているサービスなのに、明細の行と結びつくまでに時間がかかりました。これが月に十数行あります。加盟店名は、サービス名ではなく決済事業者名や法人名で出てくる。 ここを取り違えると、集計そのものがずれます。

理由3:ツールの顔ぶれが、半年で半分入れ替わる。

2月にあって7月には消えていたのが、Manus、Kling AI、Leonardo.AI、Notion。逆に7月に増えていたのが、AI Designer、Higgsfield、HeyGen、omi。そしてGensparkは8月25日で解約予定です。

半年前のリストは、半年後には使えません。4月の記事が実態と合わなくなった一番の理由が、たぶんこれです。


月8万円は、高いのか安いのか——時間で買い直す

ここからが本題です。

僕は「80,765円」という数字を、そのままでは判断できないと思っています。高いか安いかを決めるには、比べる相手が要る。一人社長にとっての比較対象は、他社のAI予算ではなく、同じ仕事を人に頼んだ場合のはずです。

厚生労働省の労働者派遣事業報告書の集計結果(令和6年度、労働者派遣の実績のあった33,207事業所の単純平均)によると、一般事務従事者の派遣料金は8時間換算・税込で18,112円/日。時間単価にすると約2,264円です。

これで割ります。

80,765 ÷ 2,264 = 約35.7時間。週にして8.2時間。

変動分まで含めた164,773円なら、約72.8時間、週16.8時間です。

他の物差しでも見ておきます。

物差し 時間単価 固定8万円で買える時間
一般事務の派遣(8時間換算・税込) 約2,264円 約35.7時間
パートの平均時給(毎月勤労統計・2025年) 1,394円 約57.9時間
滋賀県の最低賃金(令和7年10月5日発効) 1,080円 約74.8時間

出典は厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年分確報)令和7年度の地域別最低賃金改定額です。

もうひとつ。事務職の派遣をフルタイム(月20日)で頼むと、18,112円 × 20日で月362,240円。固定8万円はその約22%、総額16万円でも約46%です。事務を1人雇うより、まだ安い。

ここで物差しを決めておきます。

固定8万円は「事務を週8時間だけ雇える券」です。

この翻訳をすると、判断が変わる人がいると思います。「月8万円のツール代」は削りたくなる。でも「週8時間の事務」だと、それを手放すかどうかという話になる。同じ金額です。

正直に書くと、この換算は僕にとって都合のいい話でもあります。安く見せる方向にしか効きません。だから逆側も書いておきます。週8時間ぶんの仕事を自分がAIに渡せていないなら、月8万円は普通に高い。 券を買っただけで使わなければ、ただの固定費です。


ただし、請求額は定価と違う

各社サイトに出ている料金は定価であって、請求額とは一致しません。

Claudeの料金ページの生のHTMLには $20 / $200 / From $100 という数字が入っていて、「Prices shown don't include applicable tax」(表示価格に税は含まれません)と明記されています。ところが同じページを日本から開くと、僕の画面では $22 / $220 / From $110。ちょうど1.10倍です。Anthropicは理由を書いていませんが、日本の消費税10%が上乗せされた表示と考えるのが自然でしょう。

実際の請求でも同じことが起きています。7月のChatGPTは37,057円。$200のプランなので、$220(=$200+税)を基準に逆算すると1ドル約168円。同じ月のPerplexity 3,708円を同じレートで割ると、ちょうど$22になります。税込みで請求されていると考えると、数字が揃います。

なぜ海外サービスに日本の消費税がかかるのか。国税庁のタックスアンサーNo.6118に説明があります。国外事業者がインターネット経由で行う役務の提供は、国内取引として消費税の課税対象になる。かつての登録国外事業者制度は令和5年9月30日で廃止され、インボイス制度に移行しています。

ここで身構える方がいると思うので、先に安心材料を書きます。一般課税で課税売上割合が95%以上の事業者、簡易課税を選んでいる事業者、2割特例の対象、そして免税事業者については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされています。 国内向けのサービス売上だけで回している一人法人は、たいていこのどれかに収まります。ただし該当するかは顧問税理士に一度確認してください。

もうひとつのブレが為替です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの外国為替相場では、2026年7月の月中平均が162.60円、8月13日のTTMが159.40円。1ヶ月で3円ほど動いています。

ドル建て(Claude・ChatGPT・Perplexityなど)と円建てでは、リスクが違います。ChatGPTは2026年1月30日から日本の新規契約が円建てになりましたが、以前からドル建てで払っている場合は自動では切り替わりません。僕の請求はドル建てのままです。

だから僕は、月額固定費の一覧を円建てとドル建てに分けて書くようにしています。合計額を1円単位で管理しても意味がない。変動する枠と、変動しない枠を分けておく。 これだけで、カード明細を見たときの「あれ、増えてる」が減ります。


この費用を、何で回収するか

生成AIのROIを語る記事は山ほどあるのですが、そのほとんどが従業員の作業時間を削るモデルで計算されています。「月20時間の作業が5時間になった。時給2,000円だから月3万円の削減」というやつです。

このモデルは、一人社長には使えません。削る他人がいないからです。

一人でやっている会社で同じ計算をすると、「雇う予定のなかった人の人件費」を分母に置くことになります。もともと発生していないコストを削減額として数えるので、数字は大きく出るのに、通帳の残高は1円も変わりません。

じゃあ一人社長にとっての回収は何かというと、浮いた時間で何をしたかでしか成立しないと思っています。

週8時間ぶんの事務を渡して、その8時間を何に使うのか。新しい提案を書くのか、会いに行くのか、作りかけのものを仕上げるのか。ここが決まっていなければ、AI費用は回収されません。

これは僕自身への戒めでもあります。今回明細を洗ってみて、Gensparkを8月25日で解約しました。月9,345円。使っていないわけではないのですが、同じことが他のツールでもできるようになっていた。増やすときは一瞬で、減らすときは明細を開くまで気づかない。券を買って、券を使わずに、また券を買っている状態でした。

なので、金額を先に決めるより、「この時間で何をやるか」を先に一行で書くほうが順番として正しい。書けなかったら、そのツールはまだ要らない、でいいと思っています。


この記事から持ち帰れること

明日からできる形に落とします。

  1. 明細を、サービス名で並べ直す。 月額のAI費用は、契約リストではなく請求明細から作ってください。頭の中のリストは実態とずれますが、明細は嘘をつきません。僕は2倍ずれたまま4ヶ月走りました。
  2. 固定と変動を分ける。 毎月同じ額のものと、使った量で動くものを別の列にする。「毎月いくら」と言えるのは前者だけです。
  3. 時間で言い直す。 合計額を事務職の時間単価(本記事の目安は約2,264円)で割って、「月◯時間ぶん」と言えるようにする。金額だと削る話にしかなりませんが、時間だと使い方の話になります。
  4. その時間で何をやるかを、一行で書く。 書けないものは、まだ契約しない。
  5. 円建てとドル建てを分ける。 ドル建ては請求額が動く前提で見る。合計の1円単位を追わない。
  6. 消費税で身構えない。 表示価格が1.1倍になっているのは正常です。申告の要否は顧問税理士に一度だけ確認して、それで終わりにする。

おわりに

4ヶ月前の記事を読み返すと、ツールが5つきれいに並んでいて、合計が4万円で、よくできた記事に見えます。ただ、あれは契約リストを足し算しただけでした。明細を開いていなかった。

実額を見て分かったのは、金額の大きさより、AI費用が固定費ではなく変動費だったことです。作るものが変われば額が変わる。半年でツールも半分入れ替わる。「毎月いくらですか」という問いに、一つの数字で答えられるほうがおかしかったんだと思います。

62歳で一人でやっていると、増やせるのは時間の使い道のほうです。金額の物差しだと削るか続けるかの二択にしかなりませんが、時間の物差しにすると、使い方の話になる。僕にはこっちが向いていました。


よくある質問

Q. 「AI社長の費用」とは、いくらくらいかかりますか?

A. この言葉は2つの意味で使われています。ひとつは社長のAIクローンやAIアバターを制作する費用で、こちらは初期費用の話になります。もうひとつは、一人社長が毎月AIツールに払う利用料です。後者について、僕自身の2026年7月の実額は、毎月かかる固定サブスクが80,765円、追加課金や単発購入を含めた総額が164,773円でした。

Q. 一人会社にとって、月8万円のAI費用は高くないですか?

A. 金額だけを見ると判断できません。事務職の派遣料金は8時間換算で18,112円(厚生労働省・令和6年度)なので時間単価は約2,264円。固定サブスク80,765円はおよそ35.7時間分、週8.2時間にあたります。事務職を派遣でフルタイム(月20日)頼むと362,240円なので、その約22%です。この時間で自分が何をするかが決まっていれば安く、決まっていなければ高い、という判断になります。

Q. 海外のAIサービスに払う消費税は、自分で申告が必要ですか?

A. 国内向けのサービス売上だけで回している一人法人は、たいてい申告不要です。国外事業者がインターネット経由で行う役務提供は国内取引として課税されますが、一般課税で課税売上割合が95%以上の事業者、簡易課税を選んでいる事業者、2割特例の対象、免税事業者については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされています(国税庁タックスアンサーNo.6118)。ただし自社がどれに当たるかは、必ず顧問税理士に確認してください。


引用元・参考リンク

  • 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」(実績のあった33,207事業所の単純平均) — 集計結果PDF
  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査」(2025年分確報) — 2025年分結果確報
  • 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(滋賀県 1,080円・令和7年10月5日発効) — 令和7年度改定額PDF
  • 国税庁 タックスアンサー No.6118「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係」 — No.6118
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国為替相場」(2026年7月月中平均162.60円/2026年8月13日TTM 159.40円) — 外国為替相場
  • Anthropic「Claude Pricing」 — claude.com/pricing

※ 金額はすべて、2026年8月請求分(利用日2026年7月)の楽天ビジネスカード利用明細の実額です。


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よくある質問

Q. 「AI社長の費用」とは、いくらくらいかかりますか?
この言葉は2つの意味で使われています。ひとつは社長のAIクローンやAIアバターを制作する費用で、こちらは初期費用の話になります。もうひとつは、一人社長が毎月AIツールに払う利用料です。後者について、僕自身の2026年7月の実額は、毎月かかる固定サブスクが80,765円、追加課金や単発購入を含めた総額が164,773円でした。
Q. 一人会社にとって、月8万円のAI費用は高くないですか?
金額だけを見ると判断できません。時間に換算するのがおすすめです。事務職の派遣料金は8時間換算で18,112円(厚生労働省・令和6年度)なので時間単価は約2,264円。固定サブスク80,765円はおよそ35.7時間分、週8.2時間にあたります。事務職を派遣でフルタイム(月20日)頼むと362,240円なので、その約22%です。この時間で自分が何をするかが決まっていれば安く、決まっていなければ高い、という判断になります。
Q. 海外のAIサービスに払う消費税は、自分で申告が必要ですか?
国内向けのサービス売上だけで回している一人法人は、たいてい申告不要です。国外事業者がインターネット経由で行う役務提供は国内取引として課税されますが、一般課税で課税売上割合が95%以上の事業者、簡易課税を選んでいる事業者、2割特例の対象、免税事業者については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされています(国税庁タックスアンサーNo.6118)。ただし自社がどれに当たるかは、必ず顧問税理士に確認してください。

執筆者

今宿 裕昭

今宿 裕昭(いましゅく ひろあき)

ステップアウトマーケティング合同会社 代表 / マーケティングエンジニア(AI導入プロデューサー)

マーケティングエンジニア(AI導入プロデューサー)。AIを武器に、これまで大企業しか手にできなかったマーケティングの規模と質を、自らの責任と企みで一手に動かし、中小企業と日本創生の基盤作りに使う仕事を定義し直した一人会社の代表。博報堂に29年在籍し、ユーキャン・ENEOS・スズキ・スターバックス・BOSEなど大手ブランドのマーケティング戦略を指揮。年間200億円規模のプロジェクトを牽引。2020年早期退職後、滋賀県東近江市へ移住・独立。中小企業20社以上の支援実績。スポーツ庁「スポーツツーリズム創出事業」採択(2025年)。

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