生成AI導入

日本の中堅企業18万社がAIを必要としている── 「詳しい人がいない」55%の企業に、誰が手を差し伸べるのか

日本の年商1億〜50億円の中堅企業は約18万社。AI導入を阻む最大の壁は「専門人材がいない」こと(55.1%)。予算はある。意欲もある。でも誰にも頼めない──この構造的な空白にどう応えるか。

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今宿 裕昭

今宿 裕昭

ステップアウトマーケティング合同会社 代表|元博報堂 29年

プロフィール →
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こんにちは、ステップアウトマーケティング代表の今宿裕昭です。

「AIを導入したいけど、何から始めていいか分からない」

この相談を、僕はほぼ毎日受けています。

相談者は、年商数億円〜数十億円規模の中堅企業の経営者。事業は順調に回っている。AIが来ていることも分かっている。予算もある。でも、社内にAIを分かる人が誰もいない。

これは「うちだけの悩み」ではありません。日本中で、同じことが起きています。


18万社が「助けてほしい」と言っている

日本の年商1億〜50億円の企業は、約18万社 あります(経済産業省 企業活動基本調査)。

そしてこの企業群のAI導入率は、わずか 5〜15%

導入が進まない最大の理由は何か。東京商工リサーチの調査(2025年)によると、「推進するための専門人材がいない」が55.1% で断トツの1位です。

つまり、こういう状態です。

  • AIを導入したいと思っている
  • 予算もある
  • でも社内にAIの専門人材がいない
  • 大手コンサルティングファームは高すぎて頼めない

「予算はあるのに、誰にも頼めない」。

この構造は、日本だけの話ではありません。海外でも同じことが起きています。


アメリカでも170万社が同じ壁に直面している

海外で注目を集めている起業家 Damian Player 氏が、興味深い主張をしています。この記事を日本語で紹介しているのじ氏(@columbus_ceo)のポストが分かりやすいので、まずこちらをご覧ください。

アメリカだけで、年商1億〜50億円のミッドマーケット企業は約170万社ある。そのほとんどがAIを導入できていない。

そして、この170万社に実際にAI導入支援を提供している人の数は?

ほぼゼロだ、と彼は言います。


なぜ、誰もこの市場に手をつけていないのか

AI業界全体が、スペクトラムの両端に集中しています。

片方は、個人向けのツール。 ChatGPTやCopilotのような、個人が使うAIツール。

もう片方は、Fortune 500向けのエンタープライズ。 マッキンゼーやアクセンチュアが数百万ドルで受ける大企業向けのAI導入プロジェクト。

真ん中が、ガラ空きなのです。

年商数億円〜数十億円の企業にとって、個人向けツールでは自社のワークフローに合わない。かといって、大手コンサルの数千万円のプロジェクトは現実的ではない。

結果、何も進まないまま時間だけが過ぎている。


OpenAIもAnthropicも、同じ問題を見ている

これは推測ではありません。世界最大のAI企業が、今まさに動いています。

OpenAI は、TPG、ベインキャピタルなどと100億ドル規模のジョイントベンチャーを協議中です。目的は、投資先のポートフォリオ企業にAIを導入すること。

Anthropic も同様です。ブラックストーン、Permiraなどと提携し、1億ドル規模のパートナーネットワークを立ち上げました。アクセンチュアは3万人にClaudeの導入トレーニングを実施しています。

彼らが何十億ドルも使って解決しようとしている問題はたったひとつ。「企業に実際にAIを使わせること」です。

しかし、彼らのターゲットはFortune 500。最大手企業です。

年商数億円〜数十億円の中堅企業は、誰も解決していない。


日本の現場で僕が見ていること

僕は博報堂で29年間、大企業のマーケティング戦略を見てきました。そして今、中小企業の現場でAI導入支援をしています。

そこで毎日見ているのは、数字の裏にある「人の顔」です。

  • 経営者はAIの必要性を感じている
  • ニュースも見ている、競合が動き始めていることも分かっている
  • でも、社内にエンジニアがいない
  • 「何から始めればいいか」が分からず、凍りついている

DXの号令だけが掛かって、実行が止まっている。

18万社のうち、85%以上がこの状態です。


求められているのは「ベンダー」ではなく「変革パートナー」

Damian氏の記事で、最も重要な指摘はこの部分です。

「ベンダーとしてポジショニングするな。トランスフォーメーション・パートナーとしてポジショニングしろ。」

ベンダーとは、ツールを作って納品して去る人。ベンダーは価格で競争し、安い選択肢が出た瞬間に置き換えられます。

一方、変革パートナーが売るのは「構築」ではなく「ビジネスの成果」です。 EBITDAの改善、コスト削減、オペレーションの高速化。構築はそれを届ける手段であって、売り物ではない。

僕たちステップアウトマーケティングがやっていることも、まさにこれです。

ツールを導入して終わりではなく、その会社の業務が実際に変わり、人が本来やるべき仕事に集中できる状態をつくる。 そこまで伴走する。


あと2年が「ボーナスタイム」

Damian氏はこう断言しています。

「2年後、ここは混雑した市場になる。今動いている人間が、競合が現れる前に自分の業界を支配する。」

従来のマーケティングがサービス産業として飽和するまでに25年かかりました。AI導入支援というサービスが存在してから、まだ2〜3年。

今は、バカみたいに早い段階です。

この窓が開いている間に動けるかどうかで、今後の5年が決まります。


中小企業の経営者に伝えたいこと

この記事を読んで「うちもAIを入れなきゃ」と思った方に、2つお伝えしたいことがあります。

1. 「全社導入」から始めなくていい

まずは1つの業務。メールの返信、議事録の作成、データの集計。小さく始めて、効果を実感する。そこから広げる。

これが一番確実な進め方です。

2. 「詳しい人」を社内に雇う必要はない

社内にAIエンジニアを採用するのは、多くの中堅企業にとって現実的ではありません。

必要なのは、自社の業務を理解した上で、AIの実装を伴走してくれるパートナーです。


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